英語能力を測るための試験には、いくつかの種類がありますが、CASEC(キャセック)を知っている人はまだ多くないかもしれません。
英語の試験としては代表的なものは、皆さんよくご存知のTOEICであり、英検です。
留学する方には、TOEFL等も身近です。
それぞれ試験によって、開催時期も受験料も受験時間もまちまちです。
今回はその中でも最近一気に英語の試験界に台頭してきているCASEC(キャセック)について、その魅力を中心に、他の英語試験との違いにクローズアップしながら紹介します。
CASECとは何か?
CASECは“Computerized Assessment System for English Communication”の略です。
このCASECは、2001年から本格的に運用が開始された試験で、2018年3月時点で延べ209万人が受験しており、運用開始以来受験者数は飛躍的に伸びてきています。
特に2020年の新型コロナ対策によりTOIECがに申し込めず、TOEICが受けれない受験生が多く出たことにより、英語能力を証明する代替試験として、企業や学校が注目している英語能力試験です。
CASECと他の英語能力検定試験との違いと魅力
CASECは、他の英語能力試験と大きく異なっている点があり、まさにこの違いこそがCASECの大きな魅力です。
CASECの魅力を一言で言い表すと、次のようになります。
それはずばり、「安い」「近い」「短い」の「安近短」です。
この安近短の順に、CASECの特徴を紹介していきます。
CASECの魅力①“安”
まず「安さ」についてです。
TOEICは1回あたりの受験料は5,725円です。
英検1級に至っては受験料が8,400円と、決して安いとは言えない金額です。
一方のCASECは、1回あたりの受験料が3,600円です。
これは英検3級の受験料である3,800円より安い金額です。
英語能力の上達度合を確実に測るためには、定期的に受験をすることが望ましいのは言うまでもありません。
特にTOEICは、合格や不合格という基準がないため、何回も受け続けて、目標とするスコアに達するまで定期的に頑張る方も多くいらっしゃいます。
定期的に何回も受験する場合、受験料は少しでも安い方が良いに決まっています。
CASECの魅力②“近”
次に紹介するのが「近さ」です。
正確に言うと近いどころの話ではありません。
CASECは、パソコンさえあれば自宅でも受験が可能なのです。
英検やTOEICの場合、東京都内では受験地も豊富かもしれませんが、その他の地域では受験地は限られており、試験会場に行くまでが既に大変でだったりすることもあります。
特に、地方ともなれば車で受験しに行ったとしても駐車場を確保するのが大変であったり、移動時間に時間が多くかかったりと、受験をするだけでも一日がかりになる場合もあります。
交通費や、早く行って試験前に近くのカフェで軽食でも、と考えたりすると、試験会場に行くだけでも結構な負担になります。
しかしCASECであれば、パソコンがあれば自宅でも受験ができるので、上述したような悩みはは一切不要となります。
寒暖も気にすることなく、周りの目さえ気にならないので、部屋着姿で受験も可能です。
普段と違う環境で緊張しがちな子供にとって、自宅で試験ができるのは、普段通りの実力を出しやすい環境になりますし、親としても遠出をさせなくて済むので安心です。
CASECの魅力③“短”
TOEICの受験時間は、リスニングセクションとリーディングセクションを合わせて約2時間とされています。
英検の場合も、1級は一次試験が筆記100分、リスニング35分であり、2時間をオーバーする試験です。
合格するためにはさらに、10分間とはいえ、別の日時に二次試験に出向かなくてはならないのも忘れてはいけません。
このように、TOEICや英検は受験をするだけでも試験時間に加えて前後の移動時間を考慮すると半日から1日がかりです。
この長い試験時間を半分以下に抑えたのがCASECです。
CASECの受験時間は、平均するとたったの約40~50分です。
試験時間そのものが短い上に、自宅のパソコンでも験できるので、試験のために失われる時間が少ないのです。
試験結果がすぐに結果がわかるCASEC!
キャセックの魅力は、安近短の他にも、もう一つあります。
それは、「試験結果がすぐ分かること」です。
TOEICや英検の場合、スコアや結果が自宅に郵送されるまでには時間かかかります。
でも、試験を受けたらできるだけ早くに結果を知らりたくなるのが人としての心情ですよね。
CASECの場合、試験が終了した瞬間にスコアを確認することができます。
すぐにスコアアップのための対策を立て始めることができるのです。
CASECの出題範囲は?
CASECの試験問題は大きく4つのセクションに分かれており、それぞれ250点の配分がされているので、合計1,000点となる試験です。
セクション1はリーディングでの「語彙の知識」について、空所補充の四択問題が16問出題されます。
セクション2はリーディングでの「表現の知識」について、空所補充の四択問題が16問出題されます。
セクション3はリスニングでの「大意把握力」について、四択問題が17問出題されます。
セクション4ではリスニングでの「聞き取り能力」について問われ、書き取り式(ディクテーション)問題が11問出題されます。
これら全体を見て分かるとおり、問題数は少ないので、たしかに1時間もかからずとも試験を終えることができます。
他の試験と異なり、CASEC受験のために独特な対策が必要なのは、セクション4です。
他のセクション1~3については特筆する部分ではないので、セクション4を中心に対策をしていけば、いつでもどこでも誰でも受験ができます。
TOEICや英検など他の試験との互換性
近年注目を浴びているCASECですが、そのスコアは0~1,000となっており、TOEICの10~990点で評価されるのと少し似ています。
ただし、CASECの認知度は上がってきたとはいえ、全国的には、CASECスコアをそのまま実力の証明として使える場面は、まだが少ないのではないでしょうか。
そのため、CASECスコアの結果には、他の試験のレベルに換算がされており、TOEICであれば〇〇点くらい取得できるであろうとする目安が、スコア結果に明示されています。
スコア換算がされるのは、TOEICだけではありません。
英検では〇級、TOEFLでは〇〇点というように、計3つのメジャーな試験に対応させて換算結果がシートに表記されます。
そのため、英検やTOEICを受ける前の試験練習として、安近短のCASECを活用する人が多くいらっしゃいます。
目標とするTOEICスコアや目指してる英検の合格圏内に入ってきたところで、TOEICや英検を受けるというのが、便利でお得な使い方として人気です。
つまり、TOEICやTOEFL、英検を真の目標として掲げている人が、「模擬試験感覚でCASECを受験する」というのが、CASECの上手な活用方法だと言えるでしょう。
まとめ
CASECの大きな魅力は「安近短」に加え、すぐに結果が分かることと、他のメジャー試験へのスコア換算があることです。
他の試験では、 受験料は高かったり、試験会場遠かったり、試験の時間が長かったりしますし、新型コロナ禍においては、試験会場に行くこと自体を避けたいと考える方も多いでしょう。
そういった TOEICや英検のデメリットを取り除いた画期的な試験がCASECなのです。
貴重な休日にお金をかけて、受験地に行って、長時間の試験を受けて、結果が届くまで待ち続けるのは大変ですし、試験会場で新型コロナに感染したら目も当てられません。
とはいえ、大学や大学院受験、就職活動でTOEICの点数を提出しなければならない方も多くいらっしゃるかと思います。
その場合は、英検が開発しているCASECを受験し、CASECの点数を提出することでTOEICスコアや英検の代替とできないか、交渉してみるのもありでしょう。