2021年度に大学に入学しようとする学生から,受験時に英語の民間試験が利用できるようになったことは記憶に新しいと思います。
以前より中高生に人気のあった英検に加えて,TOEICなど社会人が受けるものだと思われていた試験も大学入試で使われるようになります。
また英語教育低年齢化の流れの中で,英検協会は英検Jr(旧:児童英検)という試験を実施しています。
子供が小学生や中学生のうちから、このような民間試験を受けさせようという保護者の方々も増えてきているようですが、どの試験を受けさせるのが良いか悩む方も多くなっています。
この記事では,これら「英検」「英検Jr」「TOEIC」のうち、小中学生にはどの試験が適しているかをご紹介しますので,保護者の方の参考になれば幸いです。
小中学生がTOEICを受験することは一部の子供をのぞいて時期尚早
TOEICは就職活動で優遇されたり,昇進の条件になったりすることで有名です。
しかし小中学生のうちからこの試験で高得点をとることを目標に英語の勉強をすることは好ましくないと考えます。
TOEICは、テスト全体がビジネス環境での英語使用場面にフォーカスしていますので,小中学生の英語力を測定することには向いていません。
ビジネスや契約の流れ,電話の取り次ぎ方などで必要とされる英語力を測定する色合いの強いビジネス英語に特化された試験ですので、小中学生には適していません。
また1つ1つの英文が長く,小中学生の英語力ではそもそも太刀打ちできないレベルの問題も多いです。
TOEICは大学生から社会人が受ける試験として最適なものだと思われますが,小中学生には意味がないどころか,英語嫌いになってしまう可能性もあります。
帰国子女など一部のすでに英語が堪能な子供をのぞいては、TOEICは子供に受験させるべきではないでしょう。
英検Jrは小学生が英語を楽しんで学ぶのに最適な試験
英検Jrでは文法問題や長文問題などが出題されない
英検Jrは基本的には英語を聞いて絵を選んだり簡単な返答を選んだりするだけの試験です。
多くの英語嫌いの子供を生み出す原因となっている英文法や,単語が分からないと読むことが苦痛になる長文問題が出題されません。
筆者は,小学生のうちから英語で子供を押さえつけて勉強させるべきではないと思っていますので,このスタンスには賛成です。
「できない」と思う経験が子供の成長を促すと考えられる人もいるかもしれませんが,いったん「できない」と思ったら英語から距離を置こうとするのが子供です。
そして日本では実際に英語から距離を置いても生活に支障が出ることはありません。
「何のために英語を勉強しなくてはいけないのか」と不満を言う子供を増やさないためにも,最初は成功体験を積ませることを優先し、あまり高いレベルの試験はやらせない方がよいでしょう。
英検Jrは合否判定ではなく正答率で結果が出てくる
英検Jrの結果は正答率で出てきます。
英検のように○級に合格/不合格という結果が出るわけではありません。
英検Jrにはブロンズ,シルバー,ゴールドという3つのレベルがあり,そのレベルで80%の正答率を出すと次のレベルの受験を勧められます。
このシステムにも筆者は賛成です。
上述の通り,あまり合否や点数で子供の英語力を管理するべきではないと思うからです。
どんなときでも言語を学ぶ動機は,「自分と相手をつなげたい」と思う欲求から来るものですので,合否や点数といった外的な圧力で勉強させることは、小学生段階ではまだ早いでしょう。
「これだけできたから次のレベルに行こう」くらいのゲーム的な感覚で英語の勉強を進めていくことは良いことだと思います。
中学生からは英検を受けることも必要になる
中学生には英語力を客観的に見て分析する必要性が出てくる
英検Jrは小学生向けの試験ですので,中学生には簡単すぎます。
2002年より小学校でも英語活動が始まり、2011年からは年間35時間の英語活動が小学5、6年生の必修となりました。
小学生の頃から英語に慣れ親しんだ子供は、中学入学段階でそれなりの英語力をつけていることが予想されますので,少し難しい試験に挑戦しても良いでしょう。
子供も中学生になると,高校や大学に入るためには受験で英語を使う必要があり,将来的に仕事でも英語を使えた方が有利だということが分かってきます。
理性が発達し,冷静にそのことを受け止めるようになったら,合否や点数といった数値目標は、英語学習の進捗状況を分析するためにとても便利なツールです。
何が苦手で何が得意かを分析することは,「コミュニケーションツールとしての英語」と「受験で勝つための英語」のどちらにもポジティブな影響をもたらします。
保護者は試験結果だけが全てではないことを意識するべし
一方で,英検合格や志望校合格だけを目標にして英語の勉強に取り組むようになると,小学生の時に思っていた「英語は楽しいもの」という感覚をだんだん忘れてしまいます。
保護者は数値目標を達成する指導こそ良い指導というわけではないと理解し,子供が数値目標に届かなかったり、合格出来なかった場合に、「合格できなければ意味がない」と、英語力自体には価値が無いものと思ってしまわないように気を付ける必要があります。
音声言語はそもそも完全に数字でコントロールできる類のものではありません。
英語学習の本来の目的は,英語を使うことで自身の生活を豊かにすることですので,英検等の試験は、その進捗を測る有効な手段として考えましょう。
まとめ
この記事では英語の民間試験のうち小学生には英検Jr,中学生には英検が適しており,TOEICは基本的に受ける必要性が低いことをご紹介しました。
大事なことは,数値目標との競争心理とうまく付き合いながら,英語ができる喜びを感じられるようにこれらの試験を上手く利用することです。
この記事が英語の資格試験を選ぶ参考になれば幸いです。