ネット上の無料英語教材を使わずに有料教材を使う意義とは?

インターネットの無料英語教材

英語を学習するにはお金がかかると思われていたのはすでに昔の話です。

インターネット社会が成熟し、すべての人にネット環境が当たり前の状況になる中で、無料で高品質な英語学習ができるようになってきています。

お金がかかる英語教材もまだまだたくさん販売されていますが、それらの存在意義が問われるほど無料の英語教材が充実し始めています。

しかしそれでもまだ有料の英語教材はなくなることなく、販売実績も好調です。

この記事では有料の英語教材の存在意義について考察した結果をご紹介します。

英語学習はほぼすべての無料でできる?

パソコンとインターネット環境があれば、英語学習のほとんどは、その気になれば無料で完結させることができます。

ネット上には紙の辞書と同じくらい信頼度の高いネット辞書が複数あり、その複数の辞書を横断して単語を調べることも簡単にできます。

文法についても、個人や企業が英文法を詳しく解説しているウェブサイトをたくさん見つけることができるでしょう。

リスニングもリーディングも、今やお金を払って素材を買うのはもったいないくらい、インターネット上に膨大な量の英文や音声があります。

BBCやNew York Timesのニュースサイトは常に最新のトピックが最新の英語で書かれていますので、一部有料会員限定の記事を除き、非常に役に立ちます。

英語耳育成のためにリスニングを強化するのであれば、ポッドキャストの活用や、TEDというプレゼンテーション動画を視聴して学習するのが有効です。

TEDでは、その分野の第一人者が登壇し、卓越したプレゼン技術で興味深い内容を発表しています。

スクリプトが完備され、日本語訳もほとんどの動画に付随していますので、日本語で英語を内容を確認することができますし、何より内容が素晴らしく、プレゼンの仕方の勉強にもなります。

有料教材のメリットは体系的な整理と信頼性

上述の通り、インターネット上には有料でないのが不思議なくらい、驚きのハイクオリティの無料英語教材がたくさんあります。

しかしそれでもなお、決して安くない英語教材が販売され続けており、小学校3年生から英語が教科化されたこともあるためか、英語教材の売れ行きは好調です。

何故無料で学べる英語教材が溢れている中、有料の英語教材が売れるのでしょうか?

それは、ネット上の無料の英語教材にはそれなりのデメリットがあるためです。

第一に、無料の英語教材にたどり着くには、正しい教材にアクセスできる知識と、それを整理する能力をすべて学習者自身で身につけないといけない点にあります。

無料教材は一つで完結しているものはなく、インターネット上に散在しているため、リーディングにはこの教材、リスニングにはこの教材、文法ならこのYoutubeチャンネル、とあちこちに散らばっている教材を、その時その時の自分のレベルに合った教材を、自分でかき集めなくてはなりません。

この労力と、収集にかかる時間がもったいない上、自分で学習カリキュラムを作らなければならないため、学習効率がすこぶる悪いのです。

ある程度英語学習が進み、体系的な知識が備わっている学習者であれば、インターネット上の無数の無料英語教材を自分で取捨選択しながら学習していくこともできますが、初心者には不向きなのです。

何をどの順番で学習すればよいか考える必要がない

多くの通信教育や英語教材、書籍では、すべての学習項目においてレベルの低いものから高いものになるように並べられており、考えるテーマに偏りが無いように素材が選ばれたりされています。

第二言語習得の専門家たち自身で製作した問題が知識と経験に基づきバランスよく配置され、クリアな発音となまりのないネイティブの発話音声などを使用して学習できます。

初学者においては何をどれだけ学習すればよいか、自分では見通しを立てることがなかなかできません。

そのため、専門家が作成した体系的なシラバスや学習展開に忠実に学習を進めたほうが、効率よくストレスなく実力をつけていくことができます。

教材探しやカリキュラム作成にかける時間を、そのまま勉強の時間に当てる方が、高い学習効率が期待できるのです。

ある意味、時間をお金で買うと言っても良いでしょう。

このような意味で、有料の通信教育や英語教材は意味があると考えられます。

ネット上の無料の英語教材は玉石混合

無料で英語学習に利用できる、個人が制作しているウェブサイト等はネット上に無数に存在しますが、そのうち信頼のおける機関が運営しているものは、実は多くありません。

通信教育大手や、教育系出版社が制作している教材は大学の先生を始め英語教育の専門家が作問し、編集者が校正し、ネイティブによってチェックされています。

このような何重ものチェックを受けていますので、有料の英語教材はネット上の情報に比べて誤りが圧倒的に少ないです。

また、使われる英語(英米の違い)や表記法、解説方法などが教材内でしっかり統一されていますので学習者は混乱を避けることができます。

同じことでも、教える先生によって説明が違うとよく混乱しますが、それがありません。

自分でネット上から素材を見つける場合は、それが正しい英語なのか、誰によって書かれた(話された)英語なのか、などを自分で考えて判断する目を持つことが必要になります。

ネイティブやバイリンガルの人が作成したホームページやYoutube動画なら大丈夫と思う方もいらっしゃいますが、果たしてそうでしょうか?

ネイティブやバイリンガルの人は、たしかにその「言葉」は流暢に話すことができるかもしれません。

しかし、「語学を教える」となると、話は別です。

例えば、日本語を教えるためには、「公認日本語教師」という新たな国家資格が必要になります。

何故日本語を教えるのに、国家資格が必要なのでしょうか?

日本人で日本語ができれば、誰でも日本語の先生になれると思われがちですが、実はそうではありません。

実は2020年まで、日本には「日本語を教えるため必要な免許」として国が定めた資格はありませんでした。

しかし文化庁国語科分科会が発表した資料によると、日本語教師の質を担保することができない現状があり、改善に乗り出したとのことです。

同様に、どこの誰が作ったかもわからない無料の英語教材に間違いがないこと求めるのは難しい話です。

また、誰が作ったかは特定できても、その人が例えネイティブであっても、「英語を教える適切な資格や能力があるか」は別問題です。

初心者や中級者は、最初の段階で正しい英語を学ぶことが非常に重要です。

間違った知識で英語を学んでしまうと、あとから軌道修正することは困難です。

この点からも、初心者~中級者がネット上にあふれる無料教材で英語を勉強することはあまりおすすめできないのです。

まとめ

英語学習において、インターネット上にあふれる無料教材の良さと有料教材の存在意義についてご紹介しました。

結論としては、英語の楽しさや基礎を学ぶ幼児期~中学生くらいまでは、やはりきっちりとしたカリキュラムに基づいて作成された、バックアップの厚い有料教材で勉強する方がおすすめです。

英語の基礎知識や、自分に必要なものや興味のあるものを取捨選択する力がつくまでは、安心して使える有料教材にも軍配があがります。

一方、中上級以降になれば英語力の基礎が身についていますので、自分で調べて考える判断力が備わってきますので、膨大な選択肢のあるネットの中からでも、自分のレベルに合った無料教材を選び出すことができるようになるでしょう。

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