英語は他の科目の勉強と同じく、継続と反復なしでは身に付きません。
しかし小学生、しかも低学年の子供に英語の勉強を反復、継続してもらうのは容易ではありません。
小学1年~2年生の子供に英語を教える際に、どのような態度や方法を取ったらいいか、また、してはいけない態度や方法は何か。
英語教室で子供に英語を教える講師として、また子供二人の親として、実際に感じていることを交えながらご紹介します。
子供に英語を教える良い方法は【褒めて伸ばす】<【驚いて伸ばす】
何事も【褒めて伸ばす】というのは王道です。
【叱って伸ばす】という反対の方法も聞きますが、子供たちを見ていて【叱って伸びるタイプの子】はほとんどいないように思います。
どんな子も、褒められると嬉しそうな顔を見せてくれます。
ちょっとしたことでも「すごい!」と褒める機会をたくさん拾ってあげてください。
【褒めて伸ばす】の王道と似ていますが、【驚いて伸ばす】を耳にしたことがあるでしょうか?
「この単語が読めるの?」「その言い方知っているの?」というように、【褒める】の一手先の【驚く】態度を取ると、子供は「もっと驚かせたい」と喜んで勉強をするケースが多いそうです。
筆者は、子供向けの英語のレッスンでは意識的に【驚く】をよく使うようにしています。
例えば、小学生低学年クラスのレッスンで「こんな文章は読めないよね?」と投げかけてみます。
すると、「読めるー!」と大きな声で英文を読んでくれるので、大げさに驚きます。
講師が驚く姿が楽しいのでしょう。
講師の驚く姿見たさのために、ちょっと難しい英文にも進んで挑戦してする子供たちを見ると、【驚いて伸ばす】効果を実感いたします。
子供に適切なレベルの英語の問題を与える
楽しんで勉強するために、レベルは重要です。
簡単すぎる問題だと飽きてしまい、難しすぎると出来なくて楽しくありません。
小学生の子供たちに適切なレベルで、バランスよい勉強内容になることが望ましいです。
経験から、簡単7~8:難しい3~2くらいの割合が、教える側からもちょうど良いバランスのように感じます。
7~8割はすぐ分かることを復習し、3~2割は新しく学ぶことを入れる。
中学生にもなれば、毎回新しい単元を組み入れてどんどん勉強を進ませるのも良いかもしれませんが、小学1年生~2年生くらいの子供たちは、時間はかかっても楽しみながら勉強し、継続してくれる方向を見つけるのが良いでしょう。
自分の英語力に気づく機会を与える
自分に英語力が付いてきているか。
これを図るのは、日常的に英語に触れる機会がないと難しいかもしれません。
そんな時は、「このアルファベットを読めるか」「この単語が読めるか」などを聞いてみてください。
子供ができるだろうと思える、簡単なレベルの質問が望ましいです。
自信をもって答えてくれたらぜひ【驚いて】あげてください。
きっと「もっと驚かせたい」と喜んで学んでくれるでしょう。
こども英会話サークルや英語教室の子供向けイベントに参加して、英語を使う機会を与えるのも良い動機付けになります。
ディズニー映画などの子供向けDVDを英語の勉強に活用する方法
ちょっと下準備が必要なのでひと手間かかりますが、ディズニー映画などの子供向けDVDを使うのも効果的です。
本当に短いフレーズでも、聞き取れるフレーズが出てくると子供たちは「分かった」と言うことに興奮し、自分が英語を聞き取れたことに感動したりします。
それが好きなディズニー映画のキャラクータのセリフならなおさらです。
ただし、最初から最後まで全部を英語音声で流すと、聞き取れない分量の方がはるかに多いので、自信を失ってつまらなくなってしまいます。
下準備として、子供たちが聞き取れそうなフレーズの場面だけをピックアップし、「ここ分かるかな?」と見せてみると良いでしょう。
小学生に英語を教える時にしてはいけない態度や方法
子供に英語が出来ないことの強迫観念を与える
「勉強しないと将来苦労するよ」「これからは英語くらいできないとダメだよ」
こんな言葉を、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
ついつい大人が言ってしまいがちな、怖い言葉です。
でもこんなことを言われても子供は想像できないでしょうし、何より楽しく自発的に学ぼうとする気持ちが育まれるとは思いません。
ぜひここは、「英語ができると世界を旅行出来たり、いろんな国の友達ができたり、楽しいことがいっぱいあるよ」という方向で楽しそうな夢を広げてあげてください。
「勉強しないと苦労する」という言葉よりずっと、勉強に対してポジティブに考え、自ら勉強しようという気持ちを育ててくれると信じています。
大人の視点で出来ないところの注意ばかりをする
発音,文法,スペルなど、大人はついつい間違いを注意したくなってしまいます。
特に、我が子を見ている親御さんはこの傾向が強いです。
しかし、子供に限らず大人であっても、注意ばかりされてしまうと楽しい気分は消えてしまいます。
子供が間違えていても、忍耐強く見守りましょう。
そして間違いを指摘して注意するのではなく、正解を示す方法を取ることをお勧めします。
正しい物を多くインプットして、徐々に間違いを修正していく方法です。
こんなシチュエーションを想像してみてください。
言葉を覚え始めた赤ちゃんが言い間違えた場合、周りの大人は「違うでしょ」と注意をするでしょうか?
きっと、優しく正しい言葉を言い直していると思います。
子供の英語勉強も同じです。
注意したい気持ちはぐっと抑えて、優しくリードしてみてください。
英語教育の成果をすぐに子供に求める
こちらも親御さんによく見られる姿です。
「これは何て読むの?」「この文法はどうなるの?」「今日勉強してきたことは?」と、ついつい子供の英語力をテストしてしまうのです。
そこで正解が出てくれば良いですが、間違えた場合は注意してしまいがちです。
前述の通り、注意の積み重ねは子供の楽しい気持ちを消してしまいます。
どれだけ英語力が付いているかを確認したい気持ちは分かりますが、子供を試してばかりの態度は抑えましょう。
子供は親に英語のテストをされるのを嫌う傾向があるので、子供がどれくらい英語を身につけたかの確認は、小学校やこども英語塾のテストで確認すると良いでしょう。
小学校やこども英語塾のテスト以外で子供の英語力を図るものとしては、代表的なものに【英検ジュニア】があります。
オンラインで過去問題や練習問題に挑戦することもできますし、受験もオンラインでできます。
英語の勉強の成果を知りたい場合には、こういった外部のテストを活用すると良いでしょう。
親はあくまで暖かく見守るサポート役となり、テスト試験官にはならない方が、子供が低学年のうちは良いと思われます。
ちなみに私は、英語教室に通ってくださる子供のお母様に、「成果は子供に求めず、講師に求めてください」とお話しています。
これを言うのはプレッシャーですが、責任をもってレッスンしていることを伝え、お母様には安心していただくためも敢えてお伝えしています。
年に数回レッスンを参観日を設け、単語や英文を読む姿、文法練習をしている姿、英語で伝えあう場面などを見ていただいています。
まとめ
子供に英語の勉強を続けさせるために重要なこととして、【お勧めのこと】と【してはいけないこと】をご紹介いたしました。
子供には、何よりも英語を勉強することを楽しいと思ってもらうことが重要です。
そのために、適切なレベルの勉強を与え、優しく見守り、できることに驚嘆してあげる。
【褒めて伸ばす】に加えて、【驚いて伸ばす】手法を取り入れるとなお効果的でしょう。
子供に英語の勉強を続けさせるためには、周りの大人が英語を学ぶための良い環境を整えてあげることが先決です。
そのような環境が揃えば、子供は喜んで英語の勉強を続けてくれるでしょう。
これから子供に英語を勉強させたいという方、または、子供が英語の勉強に躓いていて困っている方に、この記事でご紹介した方法がお役に立てば幸いです。