幼稚園児に英語を学ばせる上で大変なことと上手な教え方

英語教育の早期化、とくに公立小学校でも英語が始まり、高学年では成績がつく「教科」となることから、その準備として英語を取り入れる幼稚園(以下、保育園なども含む)が増えています。

幼稚園ではクラス単位で行う英語カリキュラムがあったり、保育後の課外活動(習い事)として英語レッスンを設けている幼稚園もあります。

そのほか、一般の習い事として英語教室も人気があり、今後もこの人気は継続していくことが予想されます。

ここでは、幼稚園児に英語を教える側から、学ばせる上で大変なことをまとめてみたいと思います。

幼児に【何か】を学ばせる上で大変なこと

まず、「幼児に【英語】を学ばせること」の前に、「幼児に【何か】を学ばせこと」に触れておきたいと思います。

幼稚園児はまだまだ幼く、小学生や中学生に教えるのとは別の大変さがあります。

誰でも知っている幼児の特性ですが、実際に幼児に何かを学ばせると、思うようにいかないことが山ほどでてきます。

ここをしっかりと理解しないと教える側のストレスが積み上がり、子供たちへの成果も期待できません。

「幼稚園児はこういうものだ」と理解し、「これはできるけど、これはできない」と見極めをすることも一つのスキルとして捉えていただけたらと思います。

【個性の塊】という幼児の特性をしっかりと理解する

幼稚園児に英語レッスンを行う場合、一番頭を悩ませる種が子供の個人差です。

英語に興味を示す子供もいれば、全く興味を示さずに遊びたがってばかりの子供もたくさんいます。

真面目に先生の話を聞いて楽しく取り組む子、すぐに側にいる子とふざけあってしまって座らせることも難しい子。

幼児クラスは個性の塊なのです。

その上、幼児の習い事は親の希望によることも多いので、そこに集まった子供たちがみんな英語に興味があるわけではありません。

そこを理解したうえで、多くの子供が楽しめるようなレッスン運びが必要になります。

それでもやはり、幼稚園のクラスのよう大人数の英語レッスンでは深く英語を学ばせることは困難で、「英語に触れる」というレベルになってしまうことは否めません。

一方、英語教室は人数を絞ることができるので、もう少し高い効果が期待できます。

しかし、少人数ではあっても幼児のクラス編成は難しいものです。

なるべくレベルが近い子、英語への関心度が近い子で編成するのが良いですが、それができない場合も多く、その中で成果を上げるための試行錯誤が必要です。

実際に幼稚園児に英語を教える上で配慮すること

では、幼児が英語を学ばせる上で大変なことを見てみましょう。

幼稚園児の英語レッスンは、読み書き文法などの勉強中心では行えません。

まだ幼児であるということをしっかりと理解して、その特性にあったレッスンの組み立てが必要になります。

幼稚園児にレッスンを行ってきた経験を踏まえ、大変なことや工夫していることをご紹介していきたいと思います。

テンポ良いレッスンで飽きさせない

幼稚園児ではまだ集中力を保つことができません。

大人から見たらじっくり取り組みたい単元でも、時間をかけると飽きてしまって頭に入らず、遊び始めてしまいます。

幼い子供とのレッスンの場合は、それぞれの単元を短くして集中力を保つ工夫が必要になります。

何度か飽きさせてしまうと「英語はつまらない」というイメージを持ってしまうことも多いので、レッスンプランの組み立ては配慮が必要でうす。

「つまらない」と感じる前に、単元を切り替えてテンポよく進めましょう。

講師とすれば実は中学生に文法中心で教えるほうがずっと簡単で、幼児クラスは体力と集中力とアイディアが必要なレッスンだというのが本音です。

リズムや歌を使って、体を使うレッスンを取り入れる

幼稚園児は基本的に、歌ったり体を動かすことが大好きです。

体を動かしながら楽しんで学ぶのは幼児の得意技ですので、ぞんぶんに使いましょう。

小学生になると歌ったりすることを恥ずかしがる子供もいますが、幼稚園児は元気いっぱい大きな声で歌ってくれます。

リズムに合わせて短いフレーズをたくさん練習するのも良いです。

面白いリズム練習はすぐに遊びに転じやすいので、軌道修正しながら行うよう注意します。

声の大きさを変える、早さを変える。

とても簡単な方法ですが、パッと集中させるのに便利なやり方です。

日本語ばかりになってしまう

幼稚園児だけではありませんが、英語レッスン中に日本語ばかりが飛び交う場面はよくあります。

まずは、「英語の時間は英語で言おう」と意識させると良いでしょう。

クラスルームイングリッシュとして、「Thank you. / You’re welcome.」「I’m sorry. / That’s OK.」のようによく使う英語は大きな紙に書いて貼っておくなど、少しずつでも英語を使う意識をさせるようリードしていきます。

このような日常的なフレーズが増えていくと、増えること自体が楽しみに変わっていきます。

字を書く準備ができているかも、それぞれ違う

ある程度の英語勉強が進んだら、アルファベットを書く練習が始まることもあるでしょう。

その場合は、子供が「書く準備」ができているかを確認する必要があります。

幼稚園児の場合は、まだ真っ直ぐ線を書くのも難しい子供もいます。

幼児では書くスキルも個人差が大きいのです。

書く準備ができていないのに無理に進めても、時間ばかりがかかってしまい、つまらなそうな顔を見せる子供が多いです。

そのような場合は、運筆の練習を取り入れるなどの試みをしてみてください。

「線を書くくらいできるだろう」と安易に考えるのは禁物です。

幼児が自分で取り組める教材はとても少ない

これだけ英語教育の早期化が進む中、幼児~小学生低学年くらいまでの子供が自分で取り組むことができる教材が少ないことは驚きです。

小学生向けのドリルやテキストも、高学年にならないと理解できないようなものばかりです。

幼児向けとなると更に少なく、大型の本屋さんで探してもアルファベットを練習するドリル,単語を練習するドリルくらいしか手に入りません。

幼児レベルのオールイングリッシュで書かれた、英会話教室で使われるような教材も市販されていますが、どれも自分ひとりで取り組めるものではなく、教えてくれる人が必要な内容です。

ここは、改善されることを切に願うばかりです。

まとめ

幼稚園児に英語を学ばせる上で、まずは幼児の特性をしっかりと理解する大切さから始め、実際の英語レッスンで特別に配慮する点などをご紹介いたしました。

退屈な時間が多かったり、強制されることが多かったりすると、「英語は楽しくない」という英語嫌いを生み出しかねません。

特に幼稚園児は目に見える成果を早急に求めるのではなく、英語を楽しいと感じてもらって、その先に長くつながるように導く。

そのために試行錯誤を繰り返す。

これに尽きます。

幼児に英語を学ばせるのは小学生~高校生に学ばせるよりもずっと大変で苦労も多いものですが、楽しんでくれている時の表情や、ゆっくりとでも出てくる成果は何よりも素晴らしい励みになります。

短期的な目線ではなく、長期を見据えて向き合っていくことが、一番の近道になると信じています。

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