自分の子供に英語を話せるようになって欲しいと思う親は多いはずです。
これからグローバル化がさらに加速して,英語を話せることはグローバルな社会で活躍するための必要条件となってくることも考えられます。
自分の子供には英語で苦労してほしくないと考える保護者の方も多いでしょう。
外国語の習得は,学習開始が遅くなればなるほど習得が難しくなると言われますため,早い年齢から学習を始めさせるのが効果的です。
とりわけ,英語を聞きわける「耳」と「発音」については,幼児期に習得することが重要だと言われていますの。
この記事では,子供に英語耳ときれいな発音を習得させるためにはどうすべきかについてご紹介します。
英語学習は何歳までに始めないと手遅れになるのか?
英語の”R”と”L”を聞きわけることができる英語耳を持つためには,生後7か月~1歳くらいまでに,大量の英語に触れさせないといけないという学説もあります。
しかし,日本の英語学習環境ではこれがなかなか難しく,現実的ではありません。
一方で”R”と”L”を正確に聞きわけ,きれいに発音する日本人はいくらでもいますし,その人達が全員帰国子女であるというわけでもありません。
これは誰でも訓練をすればそれなりに聞けるし,発音できるようになるので,英語学習はいつ始めても遅くはないという証明でもあります。
問題は「何歳までに始めればスムーズに習得できるのか」と「どう英語に触れさせればよいのか」ということになります。
7歳までに聞いた言葉ならどんな言語でもスムーズに習得できる!?
日本語を理解できるようになってくると,「日本語に必要な音以外は聞かなくてもよい」と脳が勝手に判断するようになってきます。
研究によると,1歳までの赤ちゃんの場合,脳は何が必要な音で,何が不要な音かを判断できないため,すべての音に注意を払って大人の会話を聞いているとのことです。
つまり,日本語の大枠が習得でき始めると,日本語以外の言語,つまり英語の発音は聞けなくても,「生きていく上で支障はない」と脳が判断するようになるようです。
そのため,子供に英語耳を身に着け冴えるためには,日本語の習得が完了する前に,英語の発音に触れさせることが一つの効果的な方針と言えます。
その時期は遅くてだいたい7歳くらいだと考えられていますが,実際には個人差があります。
なお,7歳を過ぎてから英語を勉強した場合はもう英語を話せるようにはならない,というわけでは全くありません。
あくまで,7歳までに英語の勉強を始めさせておくと,「スムーズに学習が進みやすい」という程度です。
一方で幼い時期から英語に触れさせることについて否定的な意見もあります。
母国語を習得する前に多言語を学ばせると,二つの言語が脳の中でごちゃごちゃになり,どちらも中途半端になってしまうという考えがあります。
確かに似通った言語であるスペイン語とイタリア語の両方を教えた場合,両者は似ているので子供の脳がイタリア語とスペイン語を区別することができず混乱する可能性はありそうですが,日本語と英語はあまりにも違う言語なので,少なくとも発音体系で混乱することはないのではないかというのが筆者の考えです。
バイリンガルにしやすい子供とは?
国際結婚したカップルの子供は,その置かれた環境要因により,もっともバイリンガルになりやすい属性の子供です。
いちばんバイリンガルになる可能性が高いのは,両親が日本語母語話者と英語母語話者の場合です。
乳児期,幼児期段階の子供にとっていちばん近くにいる大人は母親と父親であり,いちばん信頼を置いているのも彼らです。
赤ちゃんが他のどんなことよりも理解したいと思っていることは,両親の話す言葉なので,両親の話す言語が違っても,「そのどちらも生きるために必要な音と文法体系」として脳に蓄積されていくためです。
ごく普通の日本人家庭で子供をバイリンガルにすることは出来るのか?
では,国際結婚したカップルの子供ではなく,普通の日本人夫婦の家庭で育つ子供はバイリンガルにすることはできないのでしょうか?
もちろん,ハーフの子供でなくても,純血日本人の子供でもバイリンガルになることは可能です。
そのためにはどうすればよいかと言うと,当然英語に触れさせることです。
しかし両親が英語を日常的に話せない場合,両親が子供に英語を教えることはできません。
そこで役に立つのがテレビやインターネットです。
NHK BSやYouTubeでは海外のアニメをよくやっています。
テレビの音声を副音声にするとセリフが英語になるアニメ番組も多くあります。
幼児は言葉が分からなくても,アニメなどには関心を示し,集中して見る傾向が強いです。
日本語が分からなくても,子供向け番組を見せると赤ちゃんが静かになってくれるのと同じです。
同じ要領で英語の子供向け番組を見せると効果があります。
毎日決まって見るおもしろいアニメが英語であれば,脳は”興味があるもの”として英語の音認識し,英語の音が少しずつ子供の中で蓄積されていくのです。
子供に英語を「勉強させる」のではなく、子供の「興味を持つ内容をもっと理解したい」という欲求を満たしてあげるために,自然と英語に触れさせ,英語を覚えさせる,という手法です。
もちろん,これだけで英語をペラペラに話せるようになることは難しいですが,一定の効果があるのは間違いありません。
子供が見るテレビを全て英語飲みにしたとしても,日常生活でのインプットの量は圧倒的に日本語が多く,英語が少ないので,脳は英語ではなく日本語を母語として認識します。
しかも英語のは聞く,見るという受動的なインプットが中心になり,自分で英語を話してアウトプットする機会が全くない場合,発語の面では中々上達が難しいです。
そのため海外で育った子供に比べると,英語の習得度に差が出てしまうのはどうしても仕方がないことです。
しかし英語の音とを少しでも幼児期にインプットしておき、アニメなど楽しい内容で英語への精神的障壁を取り除いておけば、いざ学校教育で英語を習い始める時,他の子供と比べて早くなるということは大いに期待できます。
まとめ
何歳までに英語に触れさせたら良いかということと、一般的な日本人家庭の子供にはどう英語に触れさせたら良いかをご紹介しました。
どちらも個人差があるもので,絶対的な正解はありませんが、母語としての日本語の大枠が子供の中で形作られる「7歳くらいまでに」英語を始めておくと,一定の効果が期待できます。
また、英語は「勉強」として教え込むのではなく、両親の話す言葉やおもしろいと思えるアニメなど、子供自身が「理解したい」と思える内容の英語を毎日聞かせることで英語の音の基礎的な理解と精神的な障壁を取り除くことが重要です。
幼児期の敏感な時期はいろんなことを吸収してくれるので、英語もその1つとして幼い頃から取り入れておくと良いでしょう。