英語学習の成果を確認する手段や目標として、TOEIC990点満点を目指して勉強に励んでいる方も多いのではないでしょうか。
900点以上のスコアを取れればかなりの英語力が身についていると言えますし、990点の満点となると、取得できるのは全受験者の約0.3%です。
では、990点満点を取ることができるようになったら、そこで英語の勉強は終わりにして大丈夫なのでしょうか?
ネイティブでもTOEICで満点を取れる人は多くないと言われていますが、逆にTOEICで990点満点が取れれば、英語力はネイティブと同等になれたと考えて良いのでしょうか?
この記事ではTOEICで990満点を取れた暁には、どのような英語力が身につくのかについて解説致します。
TOEICで満点取れればネイティブと同等になれるのか?
990点を取るためには相当の努力の忍耐力が必要です。
その結果ネイティブスピーカーのような英語力を身につけることができるかと言うと、残念ながらそうとは言い切れません。
そもそも、TOEICはネイティブが母語の試験をするのではなく第二言語学習者が受験する試験として設計されています。
なので、このテストで満点を取れたからといってネイティブのようになれるとは言い切れないのです。
具体的には、レトリックやジョーク、医学、科学、社会等の教養分野など、TOEICテストではあまり問われない分野についてはTOEICで満点を取得できでもネイティブ同等の水準に達していることを証明できません。
さらに、実際のネイティブ同士のコミュニケーションでは、周りの状況などに合わせて発話された言葉自体以外の情報を加味しながらそれらを理解しなければいけません。
特にジョークや皮肉などは、日常生活に深く浸透しているものの、そのツボを理解するためには社会背景や歴史、旬のホットトピックなど、ネイティブ環境に身をおかないと染み付かないものが多くあります。
また、ネイティブが英語を使う場面では、TOEICテストの試験会場のように、じっくり集中できる環境でゆっくりと聞くことができるわけではありません。
何人ものネイティブが早口で話す会話についていくことができるかどうかは、TOEICで測れるビジネス英語には限界があり、TOEICで満点を取ったからといってネイティブと同等とは到底言うことはできないのです。
とはいえ、TOEICで満点を取ることができれば、もちろん非常に高い英語力があることを証明できることには間違いありませんので、満点を目指すこと自体には大いに意義があります。
TOEIC満点取得者の実力
ビジネスで使える教養としての英語が身についている
ネイティブのように英語のコミュニケーションをできるようにはならないかもしれませんが、それでもTOEIC満点はビジネスで使える英語をかなり高いレベルで身につけていると言えるでしょう。
一方、TOEICスコアで満点を取ることができても、英語を流暢に話すことができない人が一定するいることも事実です。
そのため、TOEICだけで英語力の実力を測る材料にするのは無意味だという批判もありますが、ビジネス英語能力を測る要素としては、満点をとっているのであれば、十分と言うことはできなくても、必要最低限の知識を備えていると言えるでしょう。
たたし、英語教育改革にともなって大学入試の英語試験にも利用できるようになってきているTOEICですが、TOEICはもともとビジネス英語の能力を測る検定です。
ですので、ビジネス英語以外の分野の英語力をを身につけるには最適な試験ですが、一般教養の分野の英語力を測るには適していません。
そのため、TOEICで満点取れても、日常会話が主体となっているディズニー映画やホームドラマを英語では理解できないという満点ホルダーは少なくありません。
TOEIC満点を取るメリット
TOEICではビジネス英語の実力を測る試験ですので、やはり最大のメリットは履歴書で圧倒的なインパクトを与えることができることでしょう。
英語力自体がどこまでネイティブレベルに近いかはさておき、TOEICで満点を取る意義は就職活動や転職活動でインパクトある履歴書を作れることが筆頭に上がります。
もちろん、900点以上を取得できれば「かなり英語ができる人なんだな」という印象を与えることができますが、990点満点は格が違います。
OEICで900点を取れるようになると、そこから990点まで伸ばすには、数字で見るよりも困難な道のりが待っています。
990点は明確に目標として設定しないと容易には達成できるものではありません。
900点までは、「英語が得意な人や留学経験者」でも取得することができるスコアです。
しかし満点となると、それ以上に英語ができる人でないと取得は難しいです。
単に英語ができるというだけで取得できるスコアではないのです。
800点から900点に100点スコアアップさせるよりも、900点から990点に90点スコアアップさせる方が、時間も努力も要するでしょう。
1時間勉強して得られる成長度合いが、800点台と900点台では大きく異なるためです。
なお、TOEICで満点を取れてもネイティブと同等に慣れているとは言えないと上述しましたが、実はネイティブでもTOEICで満点を取ることは難しいそうです。
これは、日本人でも日本語検定試験で満点を取れる人が少ないのと同様であることを考えれば、わかりやすいでしょう。
まとめ
TOEIC受験者のうちの0.3%と言われる満点の取得者ですが、その実力とはどのようなものか紹介してきました。
満点をとってもネイティブへの道は程遠い可能性が高いと紹介しましたため、満点もたいしたことなさそうに感じたかもしれませんが、TOEIC満点は決して簡単に達成できるものではありません。
達成するためには有限である自分の時間の大半を費やさないといけないかもしれませんし、多大な時間と労力を費やしても、達成できずに苦しんでいる人も多くいらっしゃいます。
それでは、TOEIC満点を取る意義はどこにあるかと言うと、第一に、就職や転職活動においては威力を発揮するためです。
第二に、満点を取るまで頑張って勉強し達成した経験は、精神的にも大いにプラスに働き、自分自身に対する信頼と自信を強く持つことができるようになります。
第三に、満点を取るまでに費やした自分自信の努力、忍耐力、目標達成能力は、就職活動や転職活動における強力なアピールになるのみならず、アイデンティティ構築の上でも、大いにポジティブに働くでしょう。